老老介護の解決策・子どもにできることは?自宅で介護を続けるリスクも解説

「家族が老老介護でどうすればよいかわからない」「老老介護で子どもにできることはあるの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

老老介護の解決策は、介護サービスの利用、ケアマネジャーと現状を共有する、老人ホームを検討するなどさまざまです。

この記事では、老老介護の解決策・子どもにできることを解説します。また、老老介護が増えている原因や、自宅で介護を続けるリスクについてもお伝えします。

家族が老老介護で悩んでいる方は、読んでみてください。

老老介護の解決策・子どもにできること

老老介護の解決策・子どもにできることは、以下のとおりです。

  • 介護認定の区分変更申請を依頼する
  • 訪問サービス・介護サービスを利用する
  • 家族・地域と協力できる体制を整えておく
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーと現状を共有する
  • 老人ホームへの入居を検討する

それぞれ解説するため、参考にしてください。

介護認定の区分変更申請を依頼する

老老介護で介護が難しくなったと感じる方は、介護認定の区分変更を申請しましょう。

介護認定の区分変更により、要介護度が高くなると利用できるサービスが増えたり、回数を多くしたりできるからです。

要介護度による利用限度額は以下のとおりです。

要介護度1ヵ月あたりの利用限度額
要支援150,320円
要支援2105,310円
要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

介護認定区分の変更を申請できる期間は、有効期間終了日の60日前から可能です。

介護認定区分の有効期間は、初回認定の場合6ヵ月、更新認定の場合は6ヵ月~12ヵ月です。

介護認定されたときと比較して、認知機能が低下したり、病気により介護量が増えたりしたと感じる方は、区分変更申請を検討してみてください。

区分変更申請をおこなう際は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

参考記事:サービスにかかる利用料(厚生労働省)

訪問サービス・介護サービスを利用する

老老介護を解決する方法には、訪問サービスや介護サービスの利用がおすすめです。

訪問サービスでは訪問介護や訪問看護、介護サービスではデイサービスやショートステイが利用可能です。

訪問サービスを利用すると、食事介助や内服の対応、排泄介助、床ずれなどの処置をおこなってもらえます。

介護サービスのデイサービスは、日中は施設で過ごし、入浴介助をおこないます。

日中に介護する時間がなくなれば、自分の時間を作り、疲労やストレスを軽減可能です。

また、ショートステイを利用すれば、夜間の介護で疲れている方の介護負担を軽減できるでしょう。

複数のサービスを併用して、できるだけ介護負担を減らせるようにしましょう。

サービスを利用するためには、ケアマネジャーに相談してみましょう。

家族・地域と協力できる体制を整えておく

家族・地域と協力できる体制を整えると、老老介護による負担を軽減できます。

たとえば、週に1回は家族が訪問して状況を観察したり、市区町村のサービスを利用したりする方法があります。

定期的な訪問があれば、介護する方は不安や悩みを相談可能です。

もし、老老介護の夫婦に何かあった場合にすぐ見つけてもらえるかもしれません。

老老介護の家庭では、介護される方は認知機能が低下しており、介護者が家で倒れていても気に留めないケースもあるのです。

家族・地域と協力できる体制を整えられるように相談しておきましょう。

地域包括支援センターやケアマネジャーと現状を共有する

老老介護で疲れを感じる場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーと現状を共有しましょう。

相談した結果、利用できるサービスを教えてもらえたり、悩みを解決できたりする可能性があるからです。

不安を抱えたままの介護生活はストレスがかかり、うつ病や体調を崩してしまう方も少なくありません。

ケアマネジャーは月に1回は訪問するため、今までと変わったことがあれば共有できるようにしましょう。

老人ホームへの入居を検討する

老老介護で限界を感じている方は、老人ホームへの入居検討も解決策のひとつです。

老老介護は介護する方も、腰痛など何らかの不調を抱えています。不調がある状態での介護は、身体的に負担となるため困難と感じてしまいます。

実際に当社への相談では、認知症がある妻を自宅で介護することが困難となった事例があり、予算に合う施設を紹介致しました。

北海道に在住されている方で老老介護に悩んでいる方は、相談のみでも可能なため、あんしるにお気軽にお問い合わせください。

老老介護が増えている背景は3つ

老老介護が増えている主な背景は、下記の3つです。

  • 高齢化
  • 核家族世帯の増加
  • 平均寿命・健康寿命の差

ひとつずつ見ていきましょう。

高齢化

日本は高齢化が進んでおり、2023年時点で29.1%と、約3人に1人が高齢者です。

地域によっては、高齢化率が平均よりも高くなっており、介護する方の年齢も高くなります。

今後も高齢化率が高くなり、老老介護の家庭は増えるでしょう。

参考記事:令和6年版 高齢社会白書 高齢化の状況(厚生労働省)

核家族世帯の増加

老老介護が増える背景には、核家族世帯の増加もあります。核家族世帯とは、下記の世帯のことです。

  • 夫婦のみ
  • 夫婦と未婚の子のみ
  • ひとり親と未婚の子のみ

厚生労働省によると、65歳以上の方がいる家庭では、夫婦のみや夫婦と未婚の子のみの世帯は、下記のように増加傾向です。

2001年2023年
夫婦のみの世帯27.8%32.0%
親と未婚の子のみの世帯15.7%20.2%

また、65歳以上の方がいる世帯の約6割は、65歳以上の高齢者のみで構成されています。

65歳以上の夫婦のみで、どちらか介護が必要な状態になると、必然的に老老介護になってしまいます。

参考記事:2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

平均寿命・健康寿命の差

健康寿命と平均寿命の差がある期間は、介護が必要になります。

健康寿命とは、自分のことを自力で生活できる期間です。

厚生労働省によると平均寿命・健康寿命は、以下のとおりです。

男性女性
平均寿命81.09歳87.14歳
健康寿命72.57歳75.45歳

平均寿命と健康寿命の差は、男性が約9年、女性は12年と報告されています。

個人差はありますが、年齢を重ねると介護が必要になり、老老介護が増える原因となるのです。

健康寿命を伸ばすためには、栄養バランスを意識した食事や定期的な運動、喫煙の機会を減らすなどがあります。

参考記事:令和5年簡易生命表の概況(厚生労働省)健康寿命の令和4年値について(厚生労働省)

老老介護で起こりうる問題

老老介護で起こりうる問題は、下記があります。

  • ネグレクトの原因になる
  • 介護疲れで共倒れになる可能性がある
  • 認知機能の低下により体調の変化に気付けない
  • 周囲に相談できず社会的な関わりが少なくなる

それぞれ解説します。

ネグレクトの原因になる

老老介護による精神的な負担は、ネグレクトを起こしてしまう可能性があります。

介護におけるネグレクトとは、食事を与えなかったり、入浴や排泄など必要な清潔ケアをおこなわなかったりすることです。

厚生労働省によると、高齢者の家族を介護している方によるネグレクトの相談件数は増加傾向です。

実際に虐待と判断された件数は2022年は約1万7,000件と報告されています。

参考記事:令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省)

介護疲れで共倒れになる可能性がある

老老介護では、介護疲れにより共倒れになる可能性があります。

介護される方の要介護度が上がると、1日に必要な介護時間が増加します。

要介護3以上になると、生活の中で介護が必要なケースが増加し、3~6割の方がほとんど終日介護をしている生活になってしまうのです。

ほとんど終日半日程度2~3時間程度必要なときのみ介護する
要支援13.1%4.1%3.2%65.6%
要支援23.7%1.7%8.7%63.7%
要介護111.8%8.9%12.4%55.3%
要介護217.0%12.3%16.4%45.0%
要介護331.9%21.9%11.5%26.1%
要介護441.2%20.0%9.4%17.4%
要介護563.1%17.2%9.15%2.5%

自宅での介護は、夜間にトイレの対応をしたり、床ずれ予防のために体位変換をおこなったりします。

毎日身体的な負担が多くなると、共倒れになってしまうケースも少なくないのです。

参考記事:令和6年版 高齢社会白書 高齢期の暮らし(2) (厚生労働省)

認知機能の低下により体調の変化に気付けない

認知機能が低下すると、お互いの体調の変化に気付かない可能性があります。

介護者も介護を始めた時期は認知機能に問題がなくても、年齢を重ねるうちに認知症を発症するかもしれません。

老老介護で2人とも認知症の家庭では、内服管理ができなかったり、食事を摂らなかったりして、体調を崩してしまうかもしれません。

認知機能が低下して、体調悪化を予防するためにも、家族による定期的な連絡、ケアマネジャーや地域と情報を共有できる体制を整えましょう。

周囲に相談できず社会的な関わりが少なくなる

老老介護の家庭では、介護に時間を取られてしまい、社会的な関わりが少なくなります。

先ほども解説したように要介護度が高くなると、終日介護をするケースも少なくありません。

周囲に相談できない状態で介護を続けていると「周囲に迷惑をかけられない」「どこに相談すればよいかわからないから介護を続ける」と考えてしまうのです。

その結果、社会的な関わりが少なくなり、介護負担が多くなる負の連鎖が起こります。

家族が老老介護になるケースでは、他者の介入が必要です。

必要なサービスを利用できるように、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談しましょう。

まとめ

今回は、老老介護の解決策や子どもにできることについて解説しました。

老老介護は、今後の日本で多くなります。

解決策や家族ができることを理解しておくと、いざというときに対応できる可能性が高まります。

あんしるでは、北海道にある老人ホームを紹介しています。

家族が老老介護をしており、相談したいと考えている方は、無料で利用できるため、お問い合わせください。