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「老人ホームの保証人は親族に頼めないため保証人なしでも入居できるか知りたい」
「老人ホームは保証人がいないと入れないと聞いたけど本当?」
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
老人ホームは、保証人がいない場合も入居可能です。しかし、保証人がいないと入居できる老人ホームは減ってしまうのです。
この記事では、老人ホームは保証人がいなくても入居できる理由を解説します。また、保証人が必要な理由や、保証人がいない方が老人ホームに入居するための方法についてもお伝えするので、読んでみてください。
老人ホームは、全国に約1万3,000件あります。そのうち、約1割の老人ホームは、保証人がいない方も入居できるのです。
しかし、介護付ホームや住宅型ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の約9割では、身元保証人を必要としているため、選択肢が限られてしまう点には注意してください。
また、平成29年にみずほ情報総研株式会社が行った調査によると、保証人がいなくても入居できる特別養護老人ホームの割合は6.4%、条件付きで入居を受け入れる施設は35.1%と報告されています。
主な条件は、成年後見制度の申請や市区町村に相談などです。保証人のいない方が入居できる老人ホームは、条件付きの場合もあるため、必ず入居できるわけではない点に注意してください。
参考記事:平成25年度 有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅に関する実態調査研究事業 報告書|公益社団法人全国有料老人ホーム協会
平成29年度老人保健事業推進費等補助金 介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業|みずほ情報総研株式会社
老人ホームで保証人が必要な理由は、以下の通りです。
保証人がいない場合、金銭管理に関するトラブルへの対応や、体調悪化時に医療行為を行うかの判断が難しくなってしまいます。
入居者自身で金銭管理ができれば問題ありませんが、使い切ってしまう方の場合は、入居費が払えずトラブルになることもあるでしょう。
上記のことから、保証人を必要としている施設は多いのです。しかし、都道府県知事から指定を受けている特別養護老人ホームであれば、保証人が不要で入居できます。
都道府県知事から指定を受けている施設は、身元保証人がいないことを理由に施設入居を拒否できないと、厚生労働省が定めているからです。
参考記事:○市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について|厚生労働省
「身元保証等」がない方の入院・入所にかかるガイドライン|厚生労働省
保証人がいない方が老人ホームに入居するための方法は、以下の通りです。
一つずつ解説します。
成年後見制度を利用すると、老人ホームへ入居できる可能性を高められます。対象者の判断能力によって、成年後見人もしくは任意後見人を裁判所が決めます。
成年後見制度は、精神的な障がいや認知症の方が利用する制度です。症状の程度に応じて、補助・保佐・後見の3種類があります。それぞれの内容は、表を参照してください。
補助 | 保佐 | 後見 | |
---|---|---|---|
対象者 | 重要な契約や手続きを一人で判断することに不安のある方 | 判断能力が著しく不十分な方 | さまざまな手続きや契約を一人で決められない方 |
後見人が同意・取り消しできること | 対象者が必要な行為を指定して、申し立てにより裁判所が定める行為 | 借金や相続の承認など民法13条1項に記載のある行為 | 原則すべての法律行為 もし、対象者が間違って契約したことも取り消し可能 |
後見人が代理でできること | 申し立てにより裁判所が定める行為 | 借金や相続の承認など民法13条1項に記載のある行為 | 原則すべての法律行為 |
民法第13条1項に定められている行為は、以下の通りです。
対象者の認知機能に合わせて、裁判所が後見人を判断するため、今後契約する際も安心して任せられるでしょう。
任意後見人制度は、認知機能や障がいを抱える前に本人が後見人を指定して、代理で行ってほしいことを決める制度です。
任意後見人は、基本的に指定した方が選ばれます。しかし、指定した方が以前に破産していたり、裁判所から後見人に適さないと判断されたりすると選ばれない可能性があります。
施設に入居している方のうち、約4割が成年後見人等が保証人になっていると報告されています。
認知機能や障がいのある方は、老人ホームに入居を考える前に、成年後見制度を申請しておくと、スムーズに入居できるでしょう。
参考記事:平成29年度老人保健事業推進費等補助金 介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業|みずほ情報総研株式会社
Q3~Q15 「法定後見制度について」|法務省
成年後見制度を利用する際は、対象者の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。申し立てができる方は、本人や配偶者、四親等以内の親族です。
申し立てをする際は、下記の書類を準備しておきましょう。
成年後見人が決まるまで、通常2~3ヵ月程度かかります。時間がかかる場合は、半年程度必要です。
保証人がいない方は、成年後見人が決まらないと老人ホームに入居できない可能性もあるため、早めに家庭裁判所へ申し立てをしましょう。
身元保証サービスは、老人ホームの入居時に保証人の代わりとして利用できます。他にも、入居時の契約手続き、入居費の支払い、緊急連絡先としての対応などをしてもらえます。
成年後見人は認知機能の低下や、障がいがないと利用できませんが、身元保証サービスであれば利用できるのです。
身元保証サービスは、会社によってサービスや料金が異なります。成年後見人の費用は、財産によって月に2~6万円と幅がありますが、身元保証サービスでは契約の際に50~100万円程度かかってしまうでしょう。
身元保証サービスは、後見人制度と比較して料金が高いデメリットがあります。複数の身元保証サービスのサービス・料金を比較して、一番良い条件を見つけましょう。
老人ホーム紹介会社を利用すると、入居の際に保証人がいなくても利用できる施設を探してもらえます。無料で利用できるため、施設を探す時間が取れない方も相談しやすいでしょう。
担当者には、施設を探すときに悩んでいることも相談可能です。相談できると施設を決める際の不安を軽減できるでしょう。
保証人なしの施設に入居するときの注意点は2つです。
それぞれ見ていきましょう。
冒頭でも解説したように、保証人なしで入居できる施設は少ないです。希望する条件の施設に入居できなかったり、住み慣れた地域から遠かったりするかもしれません。
入居できる選択肢を増やすためには、成年後見制度の利用や、身元保証サービスを利用すると良いでしょう。しかし、費用がかかるため、金銭的に難しい場合は限られた老人ホームから選ばなければいけません。
保証人なしの老人ホームに入居したいと考えていても、必ず入居できるとは限りません。内閣府によると、65歳以上の単身世帯は令和3年で約24%と増加傾向のため、保証人がいない方が増加する可能性は高いでしょう。
単身世帯の高齢者が増えると、保証人不要で条件の良い老人ホームは入居希望者が多くなり、入居できないかもしれません。
参考記事:令和5年版高齢社会白書(全体版) 3 家族と世帯|内閣府
今回は、老人ホームは保証人がいなくても入居できるのか解説しました。
保証人がいなくても老人ホームに入居できますが、選択肢が少なくなってしまいます。
成年後見制度や身元保証サービスを利用していると、入居できる老人ホームの選択肢が増えるでしょう。
老人ホームの入居を考え始めたときから、保証人はどうするのか、成年後見制度の利用や身元保証サービスの利用をするのかなど考えておくと良いでしょう。